この記事は 食べログアドベントカレンダー2025 の20日目の記事です🎅🎄
はじめに
こんにちは。テックブログ運営の伊藤です。 今年、食べログはサービス開始から20周年を迎えることができました。 この20年間、食べログは「目的に合ったおいしいお店選び」のためのインフラとして成長してきましたが、その裏側は泥臭い技術的挑戦の連続でした。
今回、アドベントカレンダー特別企画として、これからの食べログを担う入社2〜5年目の若手エンジニア5名による座談会を開催しました。 大規模サービスならではの「やりがい」と、背中合わせにある「冷や汗」ものの障害エピソード、そしてAIやソーシャル機能を駆使した未来の構想まで、語り尽くしてもらいました。
参加メンバー
- 山口 (2021年入社)
- 所属: 技術部 SREチーム
- 担当: MySQL 8.4への移行などインフラ刷新を主導。
- 食のこだわり: 「出されたものは残さない」。飲み会で余った料理も最後まで美味しくいただくのがポリシー。
- 齋藤 (2022年入社)
- 所属: 飲食店プロダクト開発部 在庫基盤チーム
- 担当: 食べログノート(オンライン予約台帳)の開発業務を担当。
- 食のこだわり: 「ベジファースト」。血糖値スパイクを防ぐため、定食は必ずサラダ→味噌汁→メインの順で攻略する。
- 向島 (2022年入社)
- 所属: 国内メディア開発部
- 担当: 食べログの新規事業開発を担当。
- 食のこだわり: 「ライスかパンなら、絶対パン」。ハンバーグの横には必ずパン。これだけは譲れない。
- 筒井 (2023年入社)
- 所属: 国内メディア開発部
- 担当: iOSアプリ開発を経て、現在はサーバーサイドへ領域を広げ修行中。
- 食のこだわり: 「晩酌時につまみは不要」。お酒とお酒に向き合う時間を純粋に楽しむタイプ。
- 濱口 (2024年入社)
- 所属: 飲食店プロダクト開発部 CX growthチーム
- 担当: LINE公式アカウント周りの新規機能開発を担当。
- 食のこだわり: 「ビールのお供は白ごはん」。お酒を飲む時こそ炭水化物でお腹を満たしたい。
- 進行:伊藤 (2024年入社)
- 所属: 新規事業開発部 オーダーチーム
- 担当: 食べログオーダーのサーバーサイドを担当。
- 食のこだわり: 天ぷらそば/うどんを頼むとき、天ぷらは別皿死守。
ユーザーとして見ていた「点数」と、エンジニアとして守る「信頼」
伊藤:まずは皆さん、入社前はいちユーザーとして食べログをどう使っていましたか?
濱口:僕は大学時代からプレミアム会員で、飲み会幹事のたびに「ネット予約可能×点数順」でソートしていました。「失敗しないためのツール」として絶対的な信頼を置いていましたね。
向島:私は、食べログを「公式記録」のように捉えていました。お店の公式サイトではないけれど、ここを見れば正確な情報が網羅されているというイメージです。
伊藤:そんな食べログですが、開発者として裏側を見た時のギャップはどうでしたか?
向島:正直、入社前は「情報の正確性ってどう担保しているんだろう?」と疑問でした。でも実際は、CS(カスタマーサポート)部隊が店舗情報のチェックを細かく行っていたり、AIと目視で口コミのチェックを走らせていたりと、技術と人力を掛け合わせた努力で品質(Quality)が守られている。そこを知って、さらに信頼度が増しました。
齋藤:僕は「BtoB領域の深さ」ですね。ユーザーからは検索画面しか見えませんが、その裏には予約管理、モバイルオーダー、仕入れ、求人と、飲食店の業務フロー全体を支える巨大なエコシステムが広がっている。単なる検索サイトではなく、飲食店のインフラを作っているんだと実感しました。
「世界に届く」実感と、数億レコードの洗礼
伊藤:実際に開発に関わる中で、「これは貢献できた」と感じた瞬間はありますか?
濱口:「LINE通知機能」の開発ですね。リリース後、友人が「食べログで予約したらLINEが届いたよ」と言ってくれて。普段パソコンに向かっているだけでは実感しにくいですが、自分の書いたコードが本当に世の中で動いていて、身近な人に届いているんだと感動しました。
向島:私は「インバウンドサイトのリニューアル」です。最初はアクセスも少なかったのですが、UIを刷新し、予約機能を強化していくにつれて、予約数がグングン伸びていくのを目の当たりにして。自分が関わった仕事が、インバウンド需要という大きな波に乗って成長していく過程を見られて嬉しかったですね。
齋藤:インバウンド予約では、食べログ初の「事前クレカ登録・キャンセル料請求」機能の実装にも携わりました。飲食店の長年の課題だった「無断キャンセル(No Show)」に技術で切り込む施策で、社会課題の解決に関われている実感がありました。
伊藤:サービスの規模が大きい分、影響力も大きいですね。逆に、規模が大きいからこその「開発の怖さ」や失敗談はありますか?
齋藤:これは今だから言えますが…そのインバウンド関連の開発中、MDB(マスターデータベース)の負荷を急上昇させてしまったことがあります。予約の操作履歴という、過去から蓄積された何億レコードもあるテーブルに対してのSELECT条件に少し修正を入れたんですが、それが超巨大なスロークエリになってしまって…。
一同:(苦笑)
齋藤:開発環境のデータ量ではサクサク動いていたので検知できなくて。本番環境の膨大なデータ量とのギャップ、そして「実行計画(EXPLAIN)」やインデックス設計の重要性を、身をもって叩き込まれた瞬間でした。
筒井:僕はiOSアプリで、とある店舗情報を充実させる機能をリリースした時のことですね。年末の最終リリース直前にバグが発覚したんですが、気づいた時にはAppleの年末の審査休止期間に入ってしまっていて…。
向島:うわあ…。モバイルエンジニアが一番恐れるやつですね。
筒井:はい。大きな機能不全ではなかったものの、バグが残った状態で年を越すことになり、親戚と集まっている時も「あぁ、今もバグってるんだよな…」と気が気じゃなかったです(笑)。この経験から、リリース計画とリスク管理を徹底するようになりました。
山口:開発系の皆さんとは少し毛色が違う話になりますが、「オペレーションミスによるAsanaのデータ消失」未遂があります。
※弊社ではタスク管理にSaaSのAsanaを利用しており、タグを使って稼働時間や緊急度などの情報を管理しています。
山口:タグの整理作業中に、誤って他チームが利用していたタグを削除してしまい、入力データが表示されなくなってしまって…。最初は気づいていなかったのですが、他チームから見えないという連絡をもらって気づき、血の気が引きました。幸い、ツールの提供元に問い合わせて復元してもらい事なきを得ましたが、「自分にとって些細な作業でも、大規模サービスでは大事故につながる」という怖さを痛感しました。
次の20年へ。検索を超えた「体験」の発明
伊藤:最後に、次の20年に向けて、皆さんが個人的に作ってみたいと思う未来の食べログについて教えてください。
1.「検索(Search)」から「提案(Suggest/Agent)」へ
齋藤:20年分のデータ資産をもっと活かして、体験を根本から変えたいですね。今はユーザーが条件を指定して能動的に「検索」していますが、これからは「探さなくても出会える」体験が必要だと思います。
伊藤:具体的にはどういうイメージでしょう?
齋藤:ネットショッピングや動画配信サービスのレコメンドに近いですね。ユーザーの好みや行動履歴、今の気分をAIが予想して、「あなた、今こういうお店に行きたいでしょ?」と提案してくれる。そうすれば、自分で検索しても辿り着けなかったような「隠れた名店」との出会いが生まれるはずです。
向島:同感です。今の検索ロジックだけでは、「なんとなくいい感じのお店」みたいなフワッとしたニーズを拾うのには限界があります。AI検索やチャットbotのような対話型のインターフェースを組み込むことで、コンシェルジュのような体験を作っていきたいですね。
2.「情報ファースト」から「直感ファースト」への転換
山口:UI/UXの観点では、「動画」の扱いがキーになるかなと。個人的に、今の食べログは「まずお店の情報(テキスト)を見て、気になったら画像を見る」というフローで使われていると思っています。最近のSNS、特にTikTokやInstagramのリールなどは逆ですよね。「まず映像で雰囲気に惹かれて、そこから詳細を調べる」。
向島:たしかに、SNSのショート動画でお店を探す人はすごく増えています。
山口:SREとしては、基盤の設計・構築やシステムへの負荷を考えると胃が痛い部分もあるんですが(笑)、ユーザー体験としては動画ファーストな導線があったほうが絶対に魅力的です。「行きたい」という直感を技術でどう支えるか、ここが次の挑戦になりそうです。
3.「個人の最適化」から「グループの合意形成」へ
筒井:もう1つ、僕は「複数人でのお店探し」にもっと寄り添いたいですね。食べログは「一人でお店を決める」には最強なんですが、グループになると調整が大変じゃないですか。
伊藤:たしかに、チャットで候補を出し合っても、なかなか全員の合意が取れないことありますよね。
筒井:そうなんです。個人の「行きたい」を持ち寄って多数決するだけじゃなくて、システム側が「このメンバーなら、ここが全員幸せになれますよ」って提案することで、合意形成をもっとスムーズにサポートしたいんです。
山口:それ、めっちゃいいですね! 例えばグループチャット機能を食べログ内に作って、メンバーが好きなお店を放り込んでいく。で、AIが「このグループの好みならここ」って提案してくれて、そのまま「グループ予約」まで一発で完了する。
濱口:最高ですね。その上で「ネット予約できるお店」が増えていったら、食べログの体験はよりよくなりますね。「電話しないと予約できない」をなくして、どんなお店でもスマホ1つで完結する世界にする。検索から提案へ、個人からグループへ。これが実現できれば、食べログはもっと面白くなると思います。
おわりに
今回の座談会で若手エンジニアたちが語ったのは、20年の信頼を背負う責任感とそこから学ぶ姿勢と、「検索から提案へ」「個人利用からグループ体験へ」という、既存の枠を超えようとする熱意でした。
既存の信頼を技術で守りながら、全く新しい食体験を発明していく。 次の20年の食べログに、ぜひご期待ください。
明日は Tabelog Tech Blog編集チーム による『飲食店に寄り添い、困難に立ち向かい、誰かに届ける。社員に聞いた「食べログで一番印象に残ったこと」』です。お楽しみに!
※記事内の発言は各メンバーの個人的な想いや見解であり、食べログのサービスの公式な見解や方針ではありません。
食べログでは、20年の歴史を未来へ繋いでいく仲間を募集しています!
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