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「AIネイティブ時代のエンジニアの現在地」アンケート結果を発表!デブサミ2025夏・スポンサー出展記

はじめに

こんにちは、食べログ開発本部の小嶋です。 2025年7月17日・18日に開催された「Developers Summit 2025 Summer」に、カカクコムはプラチナスポンサーとして参加しました。

本記事では、当日の現地の様子をお伝えしつつ、展示ブースにお立ち寄りいただいたエンジニアの皆さまにご協力いただいたアンケート 「AIネイティブ時代のエンジニアの現在地」 の結果を発表いたします。

Developers Summit 2025 Summerとは

「Developers Summit(通称:デブサミ)」は、翔泳社が主催する日本最大級のソフトウェア開発者向けカンファレンスです。2003年から毎年開催されており、技術者コミュニティと連携しながら、開発者が今知っておきたい技術トレンドや、ロールモデルとなる開発者との出会いを創出しています。

今回の「Developers Summit 2025 Summer」では、「マネージャー層はもちろん、役割に縛られず『なんとかしたい』課題に挑む方、事業貢献に向けてmanageするエンジニア」を対象に、AIエージェントをはじめとする技術の活用方法や、組織的な成果向上のためのノウハウが共有されました。

参加の経緯

先日、カカクコムでは新たなミッション・バリューが発表されました。その中で掲げられた「AI EXCELLENCE(AIで卓越した成果を出す)」は、まさに私たちが「AIネイティブ企業」へと舵を切る上で重要なバリューです。

今回のDevelopers Summit 2025 Summerは、この新たなバリュー、特にAIに関する私たちの挑戦や現在地を、多くのエンジニアの皆さまに直接お伝えする絶好の機会と捉え、参加を決定しました。私たちの取り組みについて広く知っていただくとともに、AI活用に関心を持つ多くのエンジニアの皆さまと直接お話しできることを楽しみにしていました。

登壇

イベント2日目のA会場では、弊社CTOの京和が登壇しました。AIネイティブ時代のソフトウェア開発、エンジニア組織、そしてエンジニアの未来についてお話しさせていただきました。

登壇資料につきましては後日公開予定です。ぜひ本ブログをチェックしてみてください。

展示ブース

展示ブースの写真

私たちの展示ブースでは、「AIネイティブ時代のエンジニア」 をテーマに、お立ち寄りいただいたエンジニアの皆さまに自身の現在地をお答えいただくアンケートを実施しました。

このアンケートを企画した背景には、AIの進化が加速する中で、エンジニア一人ひとりが感じている変化や不安、そして希望を「見える化」し、みんなで共有する場をつくりたいという思いがありました。

2日間で合計262名の方にアンケートにご協力いただきました。ご多忙の中、貴重なお時間を割いてご回答いただき、誠にありがとうございました。

アンケートの実施方法

アンケートは以下の流れで実施しました:

  1. 基本質問への回答: 4つの質問を用意し、それぞれに対応する回答エリアに、ドットシールを貼っていただきました
  2. 深堀り質問への回答: 基本質問の回答後、さらに詳しい意見や理由を聞くための深堀り質問を用意し、付箋にコメントを書いていただきました
  3. 既存コメントへの共感: 既に他の方が書いた付箋の内容に共感する場合は、その付箋にシールを貼っていただきました

基本質問としては以下4つの質問を用意し、それぞれの回答エリアには多くのシールが集まりました。

  1. あなたの新規コード、何% をAIが書いていますか?
  2. 1年後、開発生産性は 何倍 になると思いますか?
  3. キャリアに対する不安はありますか?
  4. 所属組織でのAI利用について教えてください

アンケートの結果を一つひとつ見ていきましょう。

Q1の結果:大多数がAIを活用してコードを書いている

質問1の結果の写真

プロダクトの成熟度や開発体制、エンジニアの職位によって差はあるものの、多くの方が「新規のコーディングにAIを活用している」と回答したことは、AIがもはや実験的なフェーズを超え、日常の開発実務にしっかりと根付いていることを示しています。回答の分布からは、AIとの共創が当たり前の選択肢になりつつあるという現在地が見えてきました。

使用しているAIツールとしては、付箋に寄せられたコメントではChatGPT、Gemini、Claude Code、Cursor、Copilot、Devinなどが多く挙がっており、用途や得意分野に応じて、複数のツールを併用・使い分けている様子が見受けられました。

Q2の結果:1年後の開発生産性の予想は2倍〜10倍に集中、30倍・100倍も一定数存在

質問2の結果の写真

1.5倍〜3倍と回答した方の中には、「人間が賢くならなければ生産性のボトルネックになる」といった慎重な見方が目立ちました。 興味深いのは、その中に「すでに30倍を達成しているから、1年後は2倍程度の微増」というような、すでに圧倒的な生産性向上を実現しているトップランナーの回答も含まれていた点です。

一方で、5倍〜10倍、さらに30倍・100倍以上と回答した層からは、「技術の進化スピードの加速」や「開発プロセス自体の劇的な変化」、「AI活用のベストプラクティスの普及」といった、もはや期待を超えて確信に近い考えが多く見られました。

Q3の結果:「少し不安」が最多。不安の感じ方はキャリアに依存しない

質問3の結果の写真

当初は、「キャリアが浅いジュニア層ほど不安が強く、ベテラン層は安定しているだろう」と予想していました。 しかし実際には、「少し不安」が最多となり、不安の感じ方はキャリアに依存せず多様に分布していることが明らかになりました。 ベテラン層の中にも「けっこう不安」「すごく不安」と答えた方が一定数おり、これは想定外の気づきでもありました。

付箋に寄せられたコメントからは、以下のような変化に対する警戒感や、自身のスキルとの向き合い方への悩みが、年次を問わず多くの方から挙がっていました:

  • エンジニアがやる事の変化が大きくなっている
  • 勤務年数と自分のスキルのギャップ
  • AI頼りになり自分自身の能力が低くなりそう
  • 求められるスキルが高くなり自己学習できないと置いていかれそう

一方で、「何とかしていくと思っている」「AIにはできない調整力やコミュ力がある」「結局は人と人」といった前向きな声や、人間ならではの価値を見出そうとする姿勢も多く寄せられていました。

こうした結果からは、多くのエンジニアが不安を抱えながらも、AI時代とどう向き合うかを模索している現在地が垣間見えました。

Q4の結果:「利用が推奨され、AIツールの費用を組織が負担してくれる」が最多

「利用が推奨され、AIツールの費用を組織が負担してくれる」が最多回答、次いで「組織で導入したAIツールを利用可」という結果から、もはやAIツールの導入そのものは特別な取り組みではなくなり、「AIをどれだけ使い倒せるか」というフェーズに入っていることが伺えます。

興味深いのは、多くの組織において単に組織が用意したツールを使うだけでなく、エンジニア個人が業務や課題に応じてツールを選定し、自由度高く活用している点です。

こうした環境の中で、エンジニアに求められているのは、目的に応じてAIツールを取捨選択し、使い方を自分自身で設計・進化させていく力です。 「使えること」自体が差別化にならない今、どう使いこなし、いかに成果につなげられるかが真の実力としてこれからますます重要になっていくと感じられました。

展示ブースのアンケートを終えて

多くのエンジニアの皆さまとAIネイティブ時代のエンジニアリングについて深く語り合う貴重な機会となりました。262名の方からいただいた貴重な声は、私たちがAIネイティブ企業を目指す上で、非常に重要な示唆を与えてくださいました。

参加してみて

今回、Developers Summitにスポンサーとして初めて参加しましたが、多くのエンジニアの皆さまと直接交流でき、非常に有意義な時間を過ごすことができました。他社のブースやセッションも大変興味深く、私たち自身も多くの刺激を受けました。

カカクコムおよび食べログでは、今後もこのようなイベントへの参加や情報発信を積極的に行っていきたいと考えています。次回のイベントでも、皆さまとお会いできることを楽しみにしています!

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