この記事は 食べログアドベントカレンダー2023 の7日目の記事です🎅🎄
はじめに
こんにちは。食べログのウェブ開発部プロダクトチームの千葉と申します。
普段は、メディア領域のコンテンツ充実をテーマとするユニットでエンジニアのリーダーをしています。
私が所属しているプロダクトチームでは、継続的にユーザーインタビューを実施しています。毎週金曜日に実施しており、社内では「カスタマーフライデー」と呼んでいる取り組みです。
カスタマーフライデーを立ち上げた日下が詳しい記事を執筆しています。まだ読んだことがなければ、ぜひご一読ください!
嬉しいことに、エンジニア採用に応募していただいた方の多くが上記の記事を読んでくれており、食べログにおけるプロダクト開発の取り組みの中でも注目度が高いと感じています。
そこで今回は、カスタマーフライデーで得た「ユーザーの声」が具体的な施策に繋がった事例をいくつかピックアップして紹介いたします。
技術的なトピックではないですが、食べログのプロダクト開発に興味をもっていただくきっかけとなれば幸いです。
[事例1] アプリトップのリニューアル
「食べログアプリはヒットするお店が少ない」
ユーザーインタビューにて、他の飲食店検索メディアと比較して「食べログアプリは検索でヒットするお店が少ない」との声が挙がりました。
掲載店舗数ナンバーワン にも関わらずこういった声が挙がった原因は、これまでの「食べログアプリでのお店探しの体験の設計」にあると考えました。
これまではネット予約検索を全面に押し出し、予め「予約する日時と人数」を絞り込んだ検索を行うことがユーザーにとって便利で、ビジネスにおいても重要であるという前提でアプリにおけるユーザー体験を設計してきました。
しかし、ユーザーの中には検索でヒットしているお店が「ネット予約が可能な店舗に絞り込まれていること」に気づいていない方もいたため、「ヒットするお店が少ない」というガッカリ体験を与えてしまう形となっていました。
お店検索のフローの見直し
お店が見つかる状態を担保し、素早く簡単にお店が見つかる検索を実現するために、最初からネット予約可能店舗に絞り込んで検索する体験から「食べログに掲載されているお店を全て見た上で、ネット予約が可能な店舗に絞り込む」体験へとリニューアルしました。
具体的な改修内容としては、アプリ起動後、即、現在地周辺のお店が検索されている状態となり、そこからクイックにエリアやジャンル、予約日時・人数等の検索条件で絞り込んでいくUIに変更しました。
施策をリリースした結果
リニューアル前のUIとのABテストを実施した結果、リニューアル後のUIが優位な結果となりました。
例えば「エリアやジャンル、予約日時・人数等の条件での絞り込み機能の利用率」や「お店のページを閲覧したユーザーの割合」といった指標が良化しました。
したがって、「ヒットするお店が少ない」というガッカリ体験の改善と、素早く簡単にお店が見つかる検索の実現への第一歩を踏み出せたと考えています。
また、「位置情報の利用をオンにしてくれるユーザーの割合」も良化しました。これは、アプリ起動後、即、現在地周辺のお店が検索されているUIとなったことで、位置情報をオンにする動機づけが強化された結果だと考えています。
リニューアル以降、アプリインストール後の定着率も良化しており、ユーザーにとってよりよいお店探し体験を提供できるアプリへと改善できたと実感しています。
定性的な観点でも、アプリのストアレビューでポジティブな反響を得ることが出来ました。また、インタビューしたユーザーからの反応も非常に良好でした。
[事例2] 口コミ投稿画面のUI改善
「食べログの口コミはしっかり書かないといけないイメージがある」
ユーザーインタビューにて、「食べログの口コミはしっかり書かないといけないイメージがある」という声が多数挙がりました。
食べログの口コミ投稿画面では、点数や口コミ本文の他にも入力できる項目がいくつかあります(利用シーンや詳細な点数、予算、訪問日など)。また、口コミ投稿画面は「簡易投稿」と「詳細投稿」という2種類の画面が存在する状態でした。
こういった口コミ投稿画面の複雑さが、初めて口コミを書くユーザーやライトユーザーに対して「投稿のハードルが高い」と感じさせる原因の1つになっていると考えました。
シンプルな投稿画面の実現
口コミ投稿の心理的なハードルを下げて継続した口コミ投稿を促進するために、アプリの口コミ投稿画面に対して、入力項目を整理しシンプルな投稿画面にするUI改修を実施しました。
具体的な改修内容としては、投稿画面を統一(簡易・詳細と2つあった画面を1つにまとめる)し、詳細な情報を入力するかどうかはユーザー自身が設定で管理できるようにしました。
施策をリリースした結果
改善前のUIとのABテストを実施した結果、改善後のUIが優位な結果となりました。
例えば「口コミ投稿画面を開いて、投稿完了まで進んだユーザーの割合」といった指標が良化しました。
したがって、口コミ投稿に対する心理的負担を軽減するUI改善を実施できたと考えています。
[事例3] タイムラインのコンテンツ充実
タイムラインの使われ方を知る
食べログアプリには「タイムライン」という機能があります。タイムラインは、フォローしているユーザーの新着口コミや 食べログマガジン の新着記事を確認できる機能です。
タイムラインの利用に関する定量分析にて、以下の事実が明らかになりました。
- アプリのタイムライン機能を利用しているユーザーは、利用していないユーザーと比較してアプリの起動頻度が高く、回遊率が高い。
- 口コミへの「いいね」の半数以上がタイムラインから発生している。
また、ユーザーインタビューにて以下が分かりました。
- 「良いお店を見つけるために、気になるユーザーをフォローし、空き時間に最新情報をチェックしている」といったタイムラインの具体的な活用方法。
- 口コミ投稿機能をヘビーに利用しているユーザーは、口コミ投稿を始めて間もないユーザー(新人ユーザー)の口コミに対して積極的に「いいね」をしていること。
以上を踏まえて、よりユーザーのニーズを捉えたタイムラインへと改修することで、ユーザーが高頻度にアプリを起動することの動機づけの強化と、ユーザー間の「いいね」等のコミュニケーションをきっかけとした、継続して口コミを投稿する意欲の向上を実現できると考えました。
お店やユーザーの発見につながるコンテンツを追加
具体的な改修内容としては、食べログマガジン記事でのお店の発見を促進するために、もともと1つのリストの中に「フォローしているユーザーの新着口コミ」と「食べログマガジンの新着記事」が混在していたUIを、それぞれ専用のタブで閲覧できるUIに変更しました。
また、食べログマガジンのタブに対して、都道府県で記事の絞り込みができる機能を追加しました。
さらに、お店やユーザーの発見と、ユーザー間の「いいね」等のコミュケーションを促進するために、新しいコンテンツとして「指定した地域の新着口コミ」を確認できる機能を追加しました。
施策をリリースした結果
定量的な観点では、タイムライン自体の利用率や「いいね」された口コミの割合といった効果指標が大幅に良化しました。
したがって、お店やユーザーの発見に貢献できる機能として、よりユーザーが使いたくなるようなタイムラインへと改善することが出来たと考えています。
定性的な観点でも、SNS にてポジティブな反響を得ることが出来ました。
おわりに
今回は、カスタマーフライデーで得た「ユーザーの声」が具体的な施策につながった事例を紹介させていただきました。
食べログアプリは日々リニューアルを重ねています。文章では機能のイメージがつきづらい部分もあったかと思うので、ぜひ一度食べログアプリを使ってみてください!
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