はじめに
メリークリスマス!🎄 Tabelog Advent Calendar 2025、アンカーの25日目を担当します。
食べログカンパニー長の鴻池です。
今年は「食べログ20周年 食べログのこれまでと、これからの未来」をテーマに、25日間にわたって様々な記事をお届けしてきました。 2005年のサービス開始から20年。 赤ん坊が成人するほどのこの長い月日の中で、食べログは日本の外食シーンを支えるサービスとして成長してきました。 最終日となる今回は、改めて私たちが歩んできた「泥臭い」道のりと、現在進行形で取り組んでいるインバウンド事業の急成長、そしてそれらの資産をすべて注ぎ込んで挑む「AI時代の食べログ」について語らせてください。
1. 「予約」の裏側にある、徹底して泥臭いカルチャー
食べログの歴史を振り返ると、フェーズは大きく2つに分かれます。 前半は「失敗しないお店選び」を支援する、口コミやランキングによる「検索・発見」のメディアとしての時代。 そして後半は、見つけたお店をその場で予約できる「ネット予約」のプラットフォームとしての時代です。
現在、食べログのネット予約人数は年間1億人を優に超える規模にまで成長しました。 しかし、この数字は単にシステムを作ったから達成できたわけではありません。 その裏側には、私たちの誇るべき「泥臭いカルチャー」があります。
一店舗ずつ、膝を突き合わせて
ネット予約ができるお店が増えた背景には、一店舗一店舗と向き合って対話を重ねた営業メンバーと、契約してくださったお店に向き合い、導入支援を行ったオンボーディング・カスタマーサクセスチームの存在があります。 私たちは効率性を重視して「ウェビナーでまとめて説明して終わり」とせず、あえて、一店舗ずつお店の方と向き合い、時間をかけて運用に伴走することへ投資してきました。 この地道な「人」の力が、現在の巨大な予約プラットフォームを支える岩盤となっています。
ユーザーの声も、泥臭く拾い続ける
この姿勢はプロダクト開発でも同じです。 私たちは「カスタマーフライデー」という取り組みを通じて、毎週必ずユーザーインタビューを実施し、社員全員でその様子を観察しています。 「データ」だけでなく、生身のユーザーがどこで躓き、何に喜んでいるのかを泥臭く追い続ける。 この「現場感」を大切にするDNAこそが、20年間ブレずに成長を続けられた最大の要因だと確信しています。
2. インバウンド事業:垂直立ち上げの舞台裏
次に、直近の大きな成果であるインバウンド事業についてお話しします。 コロナ明けから本格始動したこの事業は、リリースからわずか1年で月間売上が1億円を超えるまでに急成長しました。 JNTOの予測では2030年に訪日客が6,000万人に達すると言われていますが、私たちがこの波を捉えられたのは「運」だけではありません。
コロナ禍中の「仕込み」とビジネス設計
実はこの事業、コロナ禍で業界が停滞していた時期から準備を進めていました。 垂直立ち上げに成功した最大の要因は、食べログが持つ数万店舗のネット予約資産を活かしつつ、「どうすれば日本の飲食店がインバウンド予約を安心して受け入れられるか?」という問いに対し、解像度高くビジネスモデルを設計しきった点にあります。
飲食店が抱える不安は明確でした。 「言葉の壁」「無断キャンセル(No Show)」「単価の安さ(1品だけで席を占有される等)」です。 私たちはこれらを技術と仕組みで解決しました。
- 言語: AI翻訳による多言語対応。外食独自のワードも学習により高精度に再現
- 単価: 席のみ予約ではなく「コース予約」からスタートし、当日の複雑な注文やり取りを不要に。
- キャンセル: クレジットカード登録を必須化。キャンセルポリシーに違反した場合は飲食店が請求できる仕組みを導入。
単なる翻訳ツールではなく、飲食店のペインを解消する「ビジネスモデル」としてサービスインしたからこそ、日本最大級のネット予約店舗数を誇るメディアとしての資産をフル活用し、爆発的な立ち上げを実現できたのです。
3. AI時代、食べログは「Level 3」の体験へ
そして今、私たちは「AI」という新たな武器を手にしています。 食べログは、約89万店舗のデータ、8,400万件以上の口コミという、AI時代に最も重要となる「質の高いデータ」を大量に保有しています。 この資産に対し、昨今の生成AI技術を掛け合わせることで、これまでにない体験が可能になります。
シークレットな新機能:AI電話予約エージェント
ここで、現在福岡県でのみ展開している象徴的な事例を1つご紹介します。
私たちは今、「電話でしか予約できないお店」に対し、AIがユーザーの代わりに電話をかけて予約を取るサービスを実現しています。
このサービスにより将来的には、予約が取れるお店は食べログからすべてネット予約が可能な状態にまで持っていけるとよいなと思い描いています。
AI電話予約エージェントに関してはこちらをご覧ください。
お店のオペレーションへの徹底的な配慮
このサービス設計において最も重視したのは、お店の迷惑にならないことです。
AIが電話をかける際、お店のピークタイム(繁忙帯)は絶対に避ける制御を入れています。
さらに、AIがだらだらと喋ってお店の方の時間を奪わないよう、「人間が電話して予約を取る時と同等程度の会話時間」で予約が完了するよう、会話品質とスピードを極限まで磨き込みました。
これは、CTOブログでも語られている「AIネイティブ」の概念におけるLevel 3(意思決定の自動化・自律化)に近い世界観です。
CTOの記事はこちらです。
ユーザーには「どこでもネット予約」の利便性を。
お店には「負担のない予約受付」を。
この双方を高度なAI技術で繋ぎ合わせるチャレンジです。
4. BでもCでもなく。「ToG」という思想
食べログのようなBtoBtoCの事業モデルでは、常に「ToC(ユーザー)の便益を優先するか、ToB(飲食店)の要望を優先するか」というコンフリクトが発生します。 しかし、私は社内で「ToCかToBか、という視点には立たないでほしい」と強く言い続けています。
私たちが掲げるのは、「ToG(To Gaishoku)」という概念です。 一方の利益のために他方を犠牲にするのではなく、「外食産業(Gaishoku)として、あるべき姿は何なのか?」という視点に立ち、責任を持ってサービスを設計・運営していく。 先ほどのインバウンド事業やAI電話予約も、すべてはこの「ToG」の視点から生まれたものです。 外食産業全体が健全に発展し、より魅力的になることこそが、私たちの目指すゴールなのです。
おわりに
最後に、私自身の個人的な想いを少しだけ。 AIが進化し、デジタル体験が便利になればなるほど、私は逆説的に「外食というリアルの価値」は輝きを増していくと考えています。 コロナ禍で外食が制限され、友人とあまり会わなくなった経験は多くの人にあると思います。 外食とは、私たちのQOL(生活の質)に欠かせない、人生を彩る要素なのだと痛感しました。 私事ですが、30歳の頃に入院し、1ヶ月ぶりにまともな食事をした時のことが忘れられません。 その時食べたのはマクドナルドのダブルチーズバーガーでしたが、感動的なほど最高に美味しかった。 「食べる」という行為には、人を幸せにする根源的な力があります。
私たちの目指す方角
食べログの本心は、そんな輝きを増す外食業界を、AIというテクノロジーの力で支え、共に走っていきたいという点に尽きます。
外食体験そのものはより煌びやかに。
その裏側にある仕組みは、AIによってもっともっと効率的に。
日本の外食産業は、世界で戦える素晴らしいコンテンツです。
私たちは「ToG」の旗印のもと、テクノロジーとデータの力でそこを強烈に支援し、より魅力的な業界にしていきます。
そしてもっともっと外食を楽しいものにしていきます。
次の10年、20年も、食べログは「食」の未来を切り拓いていきます。
25日間、Tabelog Advent Calendar 2025にお付き合いいただき、本当にありがとうございました!
よいお年をお迎えください🎍
食べログでは、20年の歴史を未来へ繋いでいく仲間を募集しています!
ご興味のある方は、ぜひこちらもチェックしてみてください。