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食べログの開発者による技術ブログです

食べログのSEOの話 良いコンテンツを提供し検索体験の質を上げるSEOについて

こんにちは、食べログシステム本部プロダクトチームのotoyodaです。 検索に対するコンテンツの改善、いわゆるSEOを実施するチームに在籍しています。 この記事では食べログでのSEOに対する取り組みについてご紹介をします!

目次

食べログではどんなSEOをやっているのか?

初めに

初めにですが、食べログではSEOのテクニカルな部分よりも、ユーザーに提供するコンテンツを大事にしています。 セマンティックな構造にする、意味のあるテキストリンクにするなどSEOとして基本的な部分は既に抑えており、 その上でユーザーに提供するコンテンツを磨いていくことを中心として進めています。

食べログにおけるSEOは?

まず、今の検索流入はGoogleが主流になっています。検索流入とは、各種検索エンジン(Googleなど)から食べログへ流入してきたものを指しています。 おおよそ9割以上がGoogleを経由するため、テクニカルなSEOに関してはGoogleを対象として実施しています。 その上で食べログではユーザーが望む情報を提供し、たどり着けるような良いコンテンツの作成/提供を行うことを心がけています。 上記のような良いコンテンツの他にも常日頃からユーザビリティーの改善などを継続して実施しているなど、ユーザーの利便性を考えた上で実施を進めています。

抑えておきたいのは、食べログというブランドにおいてのSEOの方針が「良いコンテンツの作成/提供を行うこと」です。 検索アルゴリズムに合わせてコンテンツを設置して順位を上げるのではなく、ユーザーが求めている情報をコンテンツとして提供して、 理想的な検索が実現されるようになった際にきちんと上位に表示されることを常に意識しています。

例えば、いくら上位表示されていようとも肝心のコンテンツにユーザーが求めているものがなかったり、ユーザービリティがひどく悪いものであったりすれば、がっかりしてしまったユーザーが生み出されてしまいます。 おそらくそのユーザーに再訪していただけることはないでしょう。いくら上位に表示されているとはいえ、中身はがらんどうなものなのですから。 そのため、検索アルゴリズムの評価と実際のユーザーの評価を比較し、検索キーワードに対してどんな情報が足りていないのか、あるいはユーザビリティーが悪いコンテンツなのかを検討する必要があります。 それらを踏まえた上で、改めて良いコンテンツを提供していくことが重要となってきます。

実際にどんなことをしているかは大分類として2種類存在します。 次のセクションではその2種類についてご紹介します。

どのような改善を行っているのか?

どのように改善を進めているのかですが、大きく分けると2つの分類になります。 Googleの指標や仕様に則った対策と、食べログとしてより良いコンテンツを提供する、といった2種類です。 それぞれどのような目的、課題があるのかをご紹介します。

Googleの仕様や各種指標に則った対策

食べログではSEOの一環として、ページの構造をセマンティックなものにする、意味のあるテキストリンクにする、伝わりやすいtitleや見出しにする、など、基本的なことは全て実施しています。 その上で、ユーザーの皆様により簡単にご利用いただけるように、Googleの仕様、または指標を用いて改善を進めています。

仕様に関して

Googleの仕様についてですが、こちらに関しては主に「検索結果に対するUX」が該当します。 基本的にはユーザーの方々に適切なコンテンツを提供できるようにするために行っています。様々あるため、いくつかをピックアップしてご紹介します。

  • alternateによる利用端末/言語に応じてのページの出し分けをする
  • 構造化データを用いてユーザーの方々が求めているコンテンツをより素早く提供する
  • サイトマップを利用してより短い時間で登録していただいた店舗様のページをインデックスさせる

Googleの仕様に基づき、それぞれ目的を設定して実装をしているものになります。それぞれの目的を定め、ユーザーの方々へどのようにコンテンツの提供を行うかを考え、実装を行う必要があります。 例えば構造化データについてですが、設定を行っていればGoogleの検索結果のページにカルーセルとして情報を表示することができます。食べログに対してリクエストを行うよりも早く、検索キーワードに応じたコンテンツを提供することができます。

これらは総じてセクションの書き出しに記載した通り、検索結果に対するUX、ということになります。検索順位を保つ、あるいは向上させるために実装を行うのではありません。 ユーザーの方々がより快適に検索を行えるように仕様に応じた実装を行うのです。

指標に関して

指標というとこれもまた幾つかありますが、ここではCWV(CoreWebVitals)に関してご紹介をします。 簡潔に言えば、より良いUXを提供することをコンセプトとした指標になります。CWVは検索結果にも影響を及ぼします。 食べログではよりストレスなくコンテンツを利用していただくためにCWVの指標の改善を進めています。

LCPやCLSなど、指標となる数字は幾つかあります。 次のセクションではその指標に対しての実例をご紹介します。

LCP

LCP(LargestContentfulPaint)はコンテンツに対する表示速度を測る指標です。数字が小さければ小さいほど、より高速にコンテンツが表示されています。 この要素は、初期表示領域における最大コンテンツ(画像や見出しなど)が描画されるまでの時間を指しています。 一番最初に目に入るであろうコンテンツが読み込み中のままでは、ユーザーの皆様にご利用いただく上でのストレスになってしまいます。

画像を例として挙げますが、食べログではLCPへの対応として画像の遅延読み込みを実施しています。 初期表示領域に該当しないエリアの画像については描画を行なっておりません。このような実装を行うことにより、ページを表示するために必要な画像の読み込みは初期表示領域のみとなります。 その結果として、より素早く一番最初に目に入るであろうコンテンツが読み込まれて、表示が行われます。

また、遅延読み込み以外の手段としてレスポンスタイム(いわゆるページごとの処理時間)の短縮も有効です。 これは短ければ短いほどストレスが少なく快適に利用できるようになるため、常に確認をしており改善を進めています。

CLS

CLS(CumulativeLayoutShift)はコンテンツにおけるレイアウトの安定性を測る指標です。数字が小さければ小さいほど、レイアウトのずれが少ないです。 この要素は、コンテンツの提供者が意図をしていないレイアウトのずれについてを数字として示しています。 具体的に言えば、広告が挿入されたタイミングでガクンと1段下にずれてしまうようなコンテンツはCLSの数字は大きくなります。 上記のようなコンテンツでは意図していないリンクや広告のクリックなどが発生し、大きなストレスの一因となってしまいます。

食べログでは広告などを表示するエリアや、非同期で読み込みコンテンツを表示するエリアなど、コンテンツのずれが発生しないように、サイズが設定されたエリアとして確保しています。 初めから表示するエリアを定義しているため、後から広告やコンテンツが読み込まれようとも、既存のコンテンツに対してズレが発生しないようになっています。

食べログとしてより良いコンテンツを提供する

前文にも記載しましたが、食べログというブランドにおいてのSEOの方針は「良いコンテンツの作成/提供を行うこと」です。 検索キーワードに応じた情報を表示する、すなわち来訪してくれたユーザーの方々が求めている情報にきちんとたどり着けるコンテンツ作りがSEOそのものとなっています。 訪れていただいたコンテンツに対し、表示しているエリアは適切か、表示しているジャンルは適切か、表示している店舗数は一定件数以上あるかどうかなど、いくつかの指標を踏まえて、食べログではコンテンツの設計や提供を行っています。

検索アルゴリズムに対して優位性を持つような実装は確かに存在します。ですが食べログではそれよりも、より良いコンテンツを提供することに力を入れています。 ユーザーの方々のためにならない施策に時間を費やすよりも、飲食店を探したい、こんな食事をしたい、そんな思いに応えるべきだと考えているからです。 目先の細かなハックのようなことをするのではなく、ユーザーが必要とされている情報を揃え、素早くたどり着ける状態にする。それこそがSEOの本質であり、実現するべき形になります。

次のセクションではコンテンツに対する情報の追加に関して、実例をご紹介します。

求められているエリアを追加する

食べログはどんなエリアでも検索できる状態であると思っていましたが、いくつか完全一致で持つことができていない部分がありました。 例として道玄坂や渋谷センター街などがその状態でした。期待するエリアと実際に表示されるエリアが異なっている状態でした。

道玄坂で検索した場合、道玄坂という町名を全て含んだエリアが実際に検索されて表示されている状態でした。 こちらの検索キーワードに対して期待されるエリアは、スクランブル交差点から西へ進んだあたりまでの領域と想定しました。

渋谷センター街については検索を行えず渋谷駅周辺を表示している状態でした。 こちらも期待されるエリアは渋谷駅の周辺ではなく、東京都渋谷区宇田川町にある商店街付近だろうと想定しました。

これらのエリアは実際に検索が行われているものであり、ユーザーのニーズがある検索範囲です。 実際にユーザーから求められているエリアと判断し、それぞれの検索キーワードに絞り込んだエリアを新しく追加しました。

道玄坂であれば町域全てではなく、スクランブル交差点から西にかけてぐっと領域を絞り込んだエリア表示となりました。 こちらは従来通り道玄坂全体での検索も可能となっているので、検索されるエリアが生まれるなどといったことはありません。 また、渋谷センター街では渋谷駅周辺ではなく、宇田川町にある商店街近辺へと検索領域を縮めました。

上記のように、食べログでは求められているコンテンツをしっかりと提供することを実施しています。

現状はどうなっているか?

大小を問わず検索アルゴリズムのアップデートが行われていますが、食べログは検索順位を維持することができています。 また、コンテンツのインデックスに対しての改善も進めており、良い結果が出ております。

実際にSEOに触れてみてどうだったか?

私自身はもともと興味があり、SEOの担当者として動くことを選びました。 ただし、これは個人的なイメージなのですが、エンジニアの中でSEOの領域はあまり好まれないイメージがありました。 検索エンジンに対して定型的に細かくハックのようなことを繰り返しサービスの質ではなく検索順位と戦う、そんな雰囲気が強いからでしょう。

ただ実際にSEOに対して取り組んでみれば、検索順位と戦うだけということはありませんでした。

確かに検索順位も指標としては扱います。ただしその順位を上げるためだけではなく、ユーザーの方々に良い体験を提供するために、SEOの取り組みを行うことが事実でした。 細かいハックのような実装も、一見は検索アルゴリズムに対しての物に見えますが、その実は良い検索体験を提供するためのものです。 セマンティックなコンテンツの構造化や、検索エンジンへ読み込ませる構造化データも、情報を見やすいように、より情報を早く見せることができるようにするための実装です。

もちろん提供するサービスをより良いものにするために改善を進めていくこともやりがいを感じることですが、サービスを使っていただくための第1歩目ともなるSEOに関しても私はやりがいを感じました。 そんなやりがいは、実際にSEOに触れる以前よりも強いものになりました。

もしも検索順位と闘い続けてSEOに対して苦手意識を持ってしまった人がいたら、少し視点を変えて「検索結果に対するUXの改善」や「来訪ユーザーへのストレスの軽減」など、ユーザー中心の施策として見るのが良いかもしれません。 SEOの本質はもともと、検索順位でより上位に表示させるためのものではなく、より多くのユーザーにより良いコンテンツを提供すること、なのですから。

最後に

これからも良いコンテンツ、良い検索体験を提供することができるように改善を進めてまいります。 よろしくお願いいたします!

食べログではエンジニアを募集しています。 ご応募をお待ちしております。